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港区、サウナに非常用ブザーとラッチのない扉を義務化 赤坂の個室サウナ火災受け10月13日施行

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Research, standards and the sauna industry

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赤坂の個室サウナで夫婦が死亡した火災から10カ月。区の調査では区内125施設の8施設に1施設で非常用ブザーがなかった。既存施設は2027年9月末まで猶予される。

芝公園にある港区役所の庁舎。並木の通りに面した灰色の高層オフィスビル
図 01東京都港区役所(芝公園)。写真:Rs1421 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
この記事の内容5セクション
  1. 01既存施設は2027年9月末まで猶予
  2. 028施設に1施設でブザー未設置
  3. 03赤坂の施設は国の二つの要領のすき間にあった
  4. 04テント・バレル型サウナには新たな防火基準
  5. 05個室サウナの点検項目として使える港区の基準

東京都港区は、区内のサウナ施設に、入浴者が使いやすい場所への非常用ブザーの設置と使用中の作動確認、内部から容易に開けられラッチのない扉などを義務付けた。区議会は10月9日に条例改正案を全会一致で原案可決し、改正条例は10月13日に施行された。

2025年12月15日、赤坂の個室サウナ店「サウナタイガー」で30代の夫婦が死亡した火災を受けた措置だ。時事通信によると、サウナ室のL字型の木製ドアノブは外れて床に落ちていた。ノブはひび割れやぐらつきのため、同じ年に交換されたばかりだった。室内の非常ボタンには強く押された形跡があったが、事務所の受信盤は、約2年前に施設を引き継いだ社長が一度も電源を入れていなかった(時事通信、英語)。

要点
  • 対象:東京都港区が許可する125のサウナ施設(うち個室サウナのある施設は57)
  • 新たな基準:入浴者が使いやすい非常用ブザーと使用中の作動確認、ラッチのない扉
  • 施行:2026年10月13日。新設、増設、変更する施設には即時適用
  • 既存施設の猶予:扉は2027年3月31日まで、ブザーは同年9月30日まで
  • 調査結果:125施設中16施設でブザーが未設置。個室サウナのある57施設のうち54施設で巡回監視がなかった
  • きっかけ:2025年12月15日、赤坂の個室サウナで30代の夫婦が死亡した火災

既存施設は2027年9月末まで猶予

改正されたのは、区がサウナ施設を許可する根拠となる港区公衆浴場法施行条例と港区旅館業法施行条例の二つ。「熱気による入浴設備」について、営業者に次のことを求める。

  • 入浴者が使用しやすい場所に非常用ブザーを設ける
  • 非常用ブザーを定期的に点検し、使用中に適正に作動することを確認する
  • 扉は内部の入浴者が容易に開けられる構造とし、ラッチなど閉じ込めのおそれがある設備を設けない
  • 事故などの緊急時に迅速に対応できる体制を備える
  • 温度計を設け、内部の状況を確認できる窓などを設ける

温度計と窓の基準は、公衆浴場のうち「その他の公衆浴場」には改正前からあった。非常用ブザー、扉、緊急時の体制に関する基準は新たに加わった。

既存施設は、扉の基準が2027年3月31日まで、ブザーの設置と点検が同年9月30日まで猶予される。10月13日以降にサウナを新設、増設、変更する場合は猶予されない。区は8月31日の記者発表で、経過措置の後も改善が図られない施設には、改善措置命令などの行政処分を含めて対応するとしている。

年表。2025年12月15日、赤坂のサウナタイガーで火災。2026年1月14日、厚生労働省が全国の自治体に状況確認を依頼。1月から4月27日、港区と東京消防庁が全125施設を立入調査。4月21日、厚労省が通知。7月28日、調査結果を公表。10月9日、区議会が可決。10月13日、施行。2027年3月31日、既存施設の扉の猶予期限。9月30日、ブザーの猶予期限
赤坂の火災から港区の条例施行まで10カ月。既存施設の猶予期限は2027年に来る。グラフ:SaunaNews

8施設に1施設でブザー未設置

区は東京消防庁と合同で、2026年1月から4月27日にかけて区内の全125施設を立入調査し、7月28日に結果を公表した。

  • 非常用ブザー:16施設(12.8%)が未設置で、個室サウナのある57施設に限ると13施設だった。設置済みの109施設のうち8施設では作動しなかった。
  • 扉:16施設の扉にラッチがあり、10施設が内開きだった。
  • 巡回:58施設で従業員の巡回監視がなく、個室サウナのある57施設では54施設に上った。
港区の調査結果の棒グラフ。全125施設と個室サウナのある57施設の比較。非常用ブザーなしは12.8%と22.8%、設置施設のうちブザーが作動しなかったのは7.3%と4.5%、扉にラッチありは12.8%と21.1%、内開きの扉は8.0%と8.8%、従業員の巡回監視なしは46.4%と94.7%
ブザー未設置の16施設のうち13施設は個室サウナのある施設だった。個室サウナのある57施設では、54施設で巡回監視がなかった。グラフ:SaunaNews

区はブザー未設置の16施設について、扉にラッチがなく外開きである、ラッチはあるが扉に不具合がない、頻繁に巡回している、といった理由から直ちに危険な状態ではないと判断したうえで、早急に設置するよう指導した。作動しなかった8施設には、適正に作動するよう指導した。

赤坂の施設は国の二つの要領のすき間にあった

港区は2022年7月、サウナタイガーに旅館業法に基づく許可を出していた。厚生労働省が4月21日に自治体へ出した通知によると、「公衆浴場における衛生等管理要領」はサウナ室への非常用ブザーの設置を求めているが、「旅館業における衛生等管理要領」には明記されていない。

同省の全国調査では、サウナを設置している施設は旅館業で5,240、公衆浴場で7,812あった。サウナ風呂はまもなく銭湯の数を上回る勢いで増えている。非常用ブザーの設置率は旅館業が63.5%、公衆浴場が85.8%だった。同省は全国一律の義務化は見送り、非常用ブザーが緊急時の安全対策として活用できることを周知し、必要に応じて指導するよう自治体に求めた。港区は二つの条例の両方に基準を書き込んだ。

特別区と八王子市、町田市を除く都内を所管する東京都は、個室サウナのある42施設を調べた。25施設にはブザーやインターホンなどがなかったが、都は全42施設で施設の状況に応じた安全対策が講じられていると確認し、新たな規制は示していない。

サウナタイガーでノブが外れたのは、これが初めてではなかった。時事通信によると、運営会社の社長は警視庁の任意聴取に、押し戸への変更を前社長に相談したが「密閉性が保てなくなる」と断られたと供述した。2025年春ごろには別のサウナ室でも内側のノブが外れ、客が一時閉じ込められる事案があった。警視庁は業務上過失致死の疑いで、12月に運営会社の関連先を、2月に前社長が経営する会社を家宅捜索した。10月下旬の時点で書類送検や逮捕は報じられておらず、出火原因も公表されていない。

テント・バレル型サウナには新たな防火基準

火災とは別に、国の防火基準も3月31日に変わった。消防庁は、屋外のテント型またはバレル型のサウナ室に設ける、定格出力6kW以下で薪または電気を熱源とする放熱設備を「簡易サウナ設備」と位置付けた(2025年11月12日の通知)。近年のサウナブームで屋外の簡易的なサウナが増えたことが理由で、意見公募は火災の4カ月前、2025年8月に締め切られていた。

  • 遮断装置:温度が異常に上昇した場合に熱源を遮断する手動と自動の装置が必要。薪を熱源とするものは、すぐ使える位置への消火器の設置で代えられ、不燃材料のたき殻受けを付ける。
  • 離隔距離:決まった距離ではなく、周囲の可燃物が100℃を超えないか、引火しない距離を確保すればよい。
  • 届出:一般サウナ設備と同様に消防への届出が必要。個人が設けるものは除かれるが、個人事業主が事業のために設けるものは届出が必要。
  • 運用:複数のサウナ設備を置く場合は簡易サウナ設備として扱わない。テント型は転倒防止に留意し、強風時は使用しない(運用通知)。

各自治体は火災予防条例の改正で取り入れる。千葉市や相模原市は3月31日に施行した。東京都議会は、小池百合子知事が9月18日に提出した火災予防条例の改正案を原案可決した。

個室サウナの点検項目として使える港区の基準

個室サウナを運営する事業者は、港区の調査と同じ項目を自ら点検できる。

  • ベンチに座ったまま手が届く位置にブザーがあり、従業員が確実に気づく場所で鳴るか。
  • 受信盤の電源を入れた状態で、今日作動を確認したか。
  • 扉はラッチがなく、内側から開けられ、外開きか。港区は内開きの扉も調査項目にしていた。
  • ノブが外れても、内側から扉を開けられるか。
  • 利用中に誰かが巡回し、ブザーが鳴ったときの対応をどの勤務帯の従業員も知っているか。

米国では、サウナ施設の運営者にも独自の基準が必要だとする白書(英語)が今年発表された。

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